2023 年 36 巻 1 号 p. 92-96
ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術 (RAPN) におけるポート位置は, 操作性に直結し, 制癌性や腎機能に影響を及ぼす可能性があるため重要である. 腫瘍の位置により経腹膜アプローチと後腹膜アプローチを選択するが, いずれのアプローチでも4th armを必ず用いることとしている. これにより術野の展開が容易となるが, アームの干渉が問題となる可能性がある. この問題を解消するために, 当院では「Flat 4」と名付けた直線上に留置するポート位置でRAPNを施行している. 経腹膜アプローチでは, 中部から下極の腫瘍では腹直筋外縁に沿ってロボットアームを留置するが, 上極の腫瘍では, 全体的に頭側に留置する必要があるため, 足側をやや上方に向けた斜めのラインにロボットアームのポートを留置する. 後腹膜アプローチでは, 腫瘍が上極にあれば頭側寄りの直線上に, 逆に下極にあれば, 足側寄りの直線上にロボットアームのポートを留置する. いずれのアプローチにおいても, 不適切なポート留置によりその後の全ての工程で不自由が生じる可能性があることを再認識し, 適切にポートを留置することが肝要である.