2023年7月, 本邦で新たな手術支援ロボット「Saroa」が登場した. Saroaは, 東京工業大学と東京医科歯科大学が共同で開発した世界で初めて触覚フィードバック機能を備えたロボットである. 2023年8月から当院で世界で初めて泌尿器科領域の手術で臨床応用されている. 本稿ではSaroaの特徴, 泌尿器手術における応用と展望について述べる.
Saroaは従来のロボット手術が持つ拡大視野や静脈性出血の抑制といった利点に加え, 多関節運動や手ブレ補正によって高い操作性を実現している. 特に触覚フィードバック機能, ロールクラッチ機能, 軽量小型であるという機器の特徴は, 手術における大きな利点となり得る.
これまで当院では, Saroaを用いて前立腺全摘, 腎・副腎摘出術, 腎部分切除術を実施してきた. 導入初期には, アームの干渉や器具不足などの課題があったが, 開発者との協力で改良を進め, 当初に比べて見違える様な手術が可能になってきた. またSaroaは既存の腹腔鏡用機器と互換性があることから, コスト削減の効果も期待される. 今後Saroaはさらなる発展が期待され, 国産ロボットとしての強みを活かした普及がなされることを強く望んでいる.