抄録
本研究では,子ども向け科学館の職員に焦点を当て,どのような動機・方略をもって科学館での展示物解説・科学教育に携わっているかについてインタビュー調査を実施した.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)子どものときから科学に親しんできた職員は,自分が経験してきた科学の魅力や,科学を通した人生の広がりを来館者に伝えたいと考えている.そのために長年培ってきた科学の知識や経験を手段として来館者を楽しませようとしていた.(2)子どものとき科学が苦手だった職員は,科学に関する知識や経験の不足を引目に感じながらも,自分が苦手であったからこそ科学が好きではない来館者に寄り添おうとしていた.