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神部 順子, 山口 明乙香, 玉田 和恵, 松田 稔樹
2024 年 2024 巻 2 号 p.
1-4
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
ICTを活用する力を向上させるために,大学に入学したばかりの学生はパソコンを操作することに対して,どのような状況にあるのかを調査する.特に,さまざまな作業および学習目標を達成するために,自分専用のパソコンを持参するように新入生に指示をした際,そこでの現状を把握しておき,その結果を,修得すべき能力目標とどう関連付けていくかについて考察する.
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藤田 匠, 齋藤 ひとみ
2024 年 2024 巻 2 号 p.
5-10
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
高等学校では令和4年度入学生から,平成30年告示の学習指導要領が年次進行で実施されている.これにより,特別活動の評価に関しても,指導要録や調査書の書式が変更になった.このような変更により,生徒にはこれまで以上に特別活動の振り返り回数や記述を課すことになったり,教員には評価方法の検討やワークシートの作成等の業務負担が増加したりと,学校現場では様々な課題が表出した.本研究では,これらの課題解決と特別活動の効果的な振り返りを目指す.
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山口 明乙香, 神部 順子, 玉田 和恵, 松田 稔樹
2024 年 2024 巻 2 号 p.
11-18
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,保育・教育職従事を目指す学生を対象としてICT活用の現状と学習成果との関連及び学生の使用デバイス端末の違いの影響について予備的調査を実施した.結果,学生はスマートフォン端末による入力を好む傾向があった.テキスト入力においては,キーボード入力とスマートフォン入力のいずれでも感覚的な違いのない学生が有意に入力文字数が多い傾向があることが明らかになった.またPC端末の使用に関しては,スマートフォン端末との入力方法の違いを障壁として感じているが明らかになった.
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石橋 希, 正司 豪, 尾澤 重知
2024 年 2024 巻 2 号 p.
19-26
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,卒業後の職業選択肢が幅広い学際系学部での探究学習において,キャリアデザインに必要な「自己探索」に着目し,授業課題の取り組み過程で学生が「自己探索」するプロセスおよびそれを促す学習環境について明らかにすることである.授業リフレクションと協力者12名のインタビューデータを複線径路・等至性モデル(TEM)を用いて分析した結果,学生が介入計画を実践・評価する活動のデザインが,既有の知識を統合的に適用して「したいこと」「できること」「求められていること」を明確化する必要性を作り出し,「自己探索」を生じさせていた.
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小牧 瞳
2024 年 2024 巻 2 号 p.
27-33
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
高校生向けのアントレプレナーシップ教育プログラムにおいて生徒が自由に使える活動経費を持ちながら社会実装まで取り組めるような実践は十分になく,研究も発展途上である.そこで社会実装に向けて活動経費を支援する教育プログラムを開発し実践した結果,生徒は協働しながら事業計画を見直すことができるなどアントレプレナーシップ教育としての一定の成果が見られた一方で,予算執行についてはグループ間に差が見られ,教育プログラムに改善の余地があることが示された.
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早岡 英介, 館野 浩司
2024 年 2024 巻 2 号 p.
34-40
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
画像生成AIをどのように初年次のメディア教育に取り入れるべきか,教育機関の現場ではいまだ手探りの状態である.今回は著作権の問題を原則としてクリアしているとされるAdobe社の画像生成AI「Firefly」を用いて,著者の所属する羽衣国際大学放送・メディア映像学科を志望する高校生および,学科1年生に対してAdobe Photoshop,Illustratorの体験授業とアンケート調査を行った.本稿では調査結果を踏まえて,どのようなプログラムがふさわしいのか考察した.
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南 伸昌
2024 年 2024 巻 2 号 p.
41-45
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
大学初年次の基盤教育において,計画的偶発性理論をベースにしたキャリア教育の授業実践を行った.人生の転機を前向きに受け止め,失敗を含めた変化をチャンスと捉え,最大限に活用するために学び続ける必要があるという認識を,話し合い活動を中心に共有した.キャリア選択自己効力感,学習アプローチ,将来と日常の接続,ルーブリックによる評価を行ったところ,受講により就職や生き方に対する視野を広げ,自己効力感等の向上に繋げることができた.
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坂井 美穂, 福島 学, 松原 かおり
2024 年 2024 巻 2 号 p.
46-51
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
初年次からのキャリア教育は自己理解の促進,意識の早期啓発,スキルセットに寄与すると考えられる.その中に,学科の学び方を組み込むことで,学生の学問への理解と職業への適応が促される.2023年度,「情報技術と職業―入門(1年次後期開講)」科目の中に曼荼羅でのワークやVRT,GATB,一般模試テストを用いる指導を行った.その結果,学生は自己の興味や能力を多角的に評価し,適切なキャリアパスを選択できたと考えている.
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高丸 理香, 西山 元子
2024 年 2024 巻 2 号 p.
52-57
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
外国人留学生の多様な属性や社会経験を踏まえた,長期的なキャリア形成に資するインターンシップ・プログラムが必要である.外国人留学生受入数の上位30大学を対象に調査を行った結果,大学が発信するインターンシップ情報は外国人留学生の視点が弱く,プログラム内容が十分に伝わらないことで,外国人留学生自身による主体的参加が困難な状況が示唆された.大学教育のなかで,企業ニーズと外国人留学生をつなげる工夫が期待される.
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―「女子中高生夏の学校」参加者アンケートの分析と考察―
出口 英樹, 永合 由美子, 大山口 菜都美, 植松 崇之
2024 年 2024 巻 2 号 p.
58-65
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
理工系分野におけるジェンダー・バイアスを是正すべく,2005年より開始された女子中高生対象の理工系進路選択支援事業「女子中高生夏の学校(夏学)」のアンケート結果を複数年に渡って分析した.その結果,夏学は短期のイベントであるにも関わらず,参加前後で理工系進路選択に対する不安の払拭,自らの将来像の具現化,理工系科目の習熟度に対する自己肯定感の向上などの変化があることが見出され,当該事業の有効性が示唆された.
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石塚 諭, 久保田 愛子, 南 伸昌
2024 年 2024 巻 2 号 p.
66-72
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,教員養成課程に在籍する大学生のキャリア選択における現状と課題を検討することである.そのため,教員養成課程に在籍する全学生対象とした教員志向,キャリア選択自己効力感尺度(花井 2008)の定点調査を計画・実施した.その結果,初年次から「目標選択」や「意思決定」が低くなる傾向を示したことや教員志向の低下とともにキャリア選択自己効力感が低下するなど,教員志向との関連が示唆された.
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林 俊成, 甯 格致
2024 年 2024 巻 2 号 p.
73-79
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,Forced alignment技術とAI音声識別技術を用いてIPA予測モデルを開発した.このモデルは発音を音素単位で分割し,IPAに対応する音素を識別する.このモデルを基に,英語学習者発音評価システムChitChatを開発した.ChitChatは,CEFR基準で学習者の発音を分析し,IPAと比較して正誤を評価する.本稿では,ChitChatの技術と英語母語話者による評価結果,日本語および中国語を母語とする英語学習者の発音評価を通じて,ChitChatの有効性を示す.
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上條 浩一, 塩尻(斎藤) 亜希, 大関 和夫, 鈴木 雅実, 門田 裕次
2024 年 2024 巻 2 号 p.
80-86
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
大学2年生に対し,Pythonプログラミングの1時間の授業を9回実施し,学生の性格と集中度,および理解度と集中度との関係の解析を行った.集中度は,学生が装着した脳波計から測定したβ波とα波の振幅比を用い,性格は,学生が書いたレポートから推定するサービスを用いた.その結果,理解度と集中度との相関は時間が経過するにつれて減少すること,および,性格によって,授業中での集中度が高まるタイミングが大きく異なることが判った.
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吉良 絵里
2024 年 2024 巻 2 号 p.
87-90
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
2020年以降,インターネットを利用したオンライン会議システムが多く取り入れられるようになり,オンラインを利用した授業が多く実施された.仕事でもオンラインを利用している社会人大学院生は,教員との交流や学生同士の交流に際し,オンラインでも問題がないと感じるのではないか.教員と学生,学生同士の交流について,教室(対面)とオンラインどちらが効果的かを調査し,学生の傾向を探る.
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仲田 知弘, Claudia Gherghel
2024 年 2024 巻 2 号 p.
91-94
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,文部科学省では,文理を問わず,大学等で数理・データサイエンス・AIの知識や技術を育成する“数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)”を開始した.しかし,高等学校教育では,文系と理系に分けて授業を行い,大学等の進学指導がなされている.本論文では,文系学生のデータサイエンスに対する興味等を明らかにするため,文京学院大学で実施する“データサイエンス入門”のアンケート調査の結果を報告する.
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向後 千春
2024 年 2024 巻 2 号 p.
95-98
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
オンデマンド授業のレクチャービデオを,講師単独による語りではなく,受講生の一部に聞き手としてZoomに参加してもらうことにより収録した.これを「学生参加型ビデオ」と呼ぶ.通学制と通信制で配信したそれぞれ15週の授業の最後に,この学生参加型ビデオについての評価とその理由をアンケートによって収集した.それを分析した結果,学生参加型ビデオは同内容の講師単独型ビデオよりも一貫して好まれることが明らかになった.また,その好まれる理由は,学生参加型ビデオの形式そのもの,受講生の意見が聞けること,TAの存在などの特徴によるものであった.
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本村 康哲, 稲葉 利江子, 毛利 美穂, 岩谷 洋史
2024 年 2024 巻 2 号 p.
99-104
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
ライティング教育では,ルーブリックを用いて学習者が成果物の相互評価を行う指導法がある.しかし,ルーブリックは複数の観点から構成されるため,評価する観点の影響を相互に受ける可能性がある.本研究では,形式的なエラーを混入した課題テキストに対し,3つの観点からなるルーブリックを用いて,8名の学生協力者が評価する実験を行った.その結果,後続評価は先行評価の値の影響を受ける傾向が見られた.
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辻本 桜子
2024 年 2024 巻 2 号 p.
105-110
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
文化庁国語課(2020)によると,20代以下の「やさしい日本語」の認知度は他の世代よりも低かった.そこで,筆者は大学生を対象にした「やさしい日本語」普及のため,関連動画の制作に着手することにした.しかし,動画は筆者自身が制作するのではなく,大学のメディア専攻の学生に制作を依頼した.本研究は,4名のメディア専攻の学生による7本の「やさしい日本語」関連動画の制作過程について報告したものである.
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小田 理代
2024 年 2024 巻 2 号 p.
111-116
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,大学の外国語学習へのVR導入に向けた教員研修設計のための基礎資料として,大学教員が外国語学習の中でVRを導入するために必要と考える知識を探索的に探ることを目的に,約15分から20分程度のVR体験が含まれるワークショップに参加した教員に対して意識調査を行った.得られた回答を,技術と関わる教育的内容知識(Technological Pedagogical Content Knowledge, TPACK)の枠組みをもとに分類した結果,教員がVRを導入するために必要と考える知識として,技術に関する知識(Technological Knowledge, TK)や技術と関わる教育的知識(Technological Pedagogical Knowledge, TPK)に関する知識を中心に必要性を感じていることが示された.
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川面 きよ
2024 年 2024 巻 2 号 p.
117-122
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,韓国の大学において学習支援担当者の職能開発がどのように行われているかを韓国大学教育開発センター協議会が実施している研修の内容を事例に情報をレビューした結果を示す.調査の結果,韓国の高等教育においては,多くの大学の教授・学習支援センターが本協議会に加盟し,その連携体制を活かした複数の階層別・職能別研修が実施されていること,その研修は会員校のみに閉じられたものではなく広く韓国の大学教職員が参加可能であること,とくに学習支援担当者については,カウンセリング能力が必要な専門性の一つとされており,育成しようとする学生像は自律的な学習者であることが確認された.
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須藤 久也, 登本 洋子, 高橋 純
2024 年 2024 巻 2 号 p.
123-128
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,理学療法学生を対象として記憶定着アプリを活用した授業外学習における学習ログを取得し,学習習慣と基礎学力との関連について明らかにすることを目的とする.学力試験の得点を目的変数とした重回帰分析の結果,累積GPAおよび学習習慣の指標である日々の課題達成率が有意な説明変数として示された.また,学力試験の得点と学習習慣の関係について散布図を作成し外れ値を確認した結果,学習習慣があるにも関わらず学力が伸び悩んでいる学生の存在が確認された.
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高林 友美
2024 年 2024 巻 2 号 p.
129-132
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
多様性と包摂性(D&I; Diversity and Inclusion)の重要性が広く述べられている現代において,ニューロダイバーシティを含む様々な異なる他者との協働に向けた教育が必要である.本研究ではこの課題をバーチャル空間における協調・協働学習によって解決するための設計を試みる.特に発達障害の特性を異なる文化として受容し,自身と他者の理解を深めることで多文化共生に繋がる学びをデザインする可能性について,メタバースなどの仮想環境の利点を踏まえて議論する.目に見えづらい特性として現れる発達障害に関しては,同じく捉えがたい文化の隔たりを乗り越えることを目指してきた異文化コミュニケーショントレーニングの実践研究が役立つ可能性があり,失敗を恐れずに他者と関わる練習が可能である仮想環境への応用が見込まれるが,多様な特性に応じるための配慮が不可欠である.
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笠松 美歩, 小矢 英毅, 大石 晴夫, 森田 裕介
2024 年 2024 巻 2 号 p.
133-140
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,様々な分野において,就労者がソフトウェア開発等を行い,業務を効率化するスキルを習得することが求められている.著者らは,このスキルのうちプログラミング的思考に着目し,評価テストを提案した.過去の調査で,プログラミング経験が豊富なほど成績が良い傾向が見られたが,想定外の誤答が生じており,それらの分析は不十分であった.本研究では,解答理由を取得・分析し,誤答を誘発する要因を明らかにすることで,テストの精度向上の端緒を得た.
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石鍋 浩, 野口 代, 梓川 一
2024 年 2024 巻 2 号 p.
141-144
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
日本では外国人介護人材を受け入れ,現場の多様化が進んでいる.しかし,外国人による高齢者虐待認識は不明な点が多い.本研究では,介護福祉領域を専攻する留学生と日本人学生による高齢者虐待認識を説明する要素を明らかにすることを目的とした.高齢者虐待に対する認識を従属変数,高齢者に対する顕在的態度・潜在的態度,祖父母との同居経験,出身等を独立変数とし,重回帰分析を行った.結果,高齢者虐待認識と出身との関連が認められた.
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山本 朋弘
2024 年 2024 巻 2 号 p.
145-149
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,生成型AIを学校現場で教員が利用する際に,どのような研修を実施すればよいか,どのような研修効果が見られるか,教員研修を試行して,その結果を考察した.生成型AIを校務や授業での支援に用いることを想定した教員研修を実施して,受講者向けの意識調査結果を研修前後で比較した.その結果,校務支援に関する項目では研修後が研修前より有意に高い結果となったが,授業支援に関する項目では有意な差は見られなかった.このことから,授業支援に関する教員研修の内容や方法を今後検討する必要があることをあきらかにした.
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木村 竜也, 森下 広大, 伊藤 大輔, 寺西 望
2024 年 2024 巻 2 号 p.
150-156
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,「総合的な探究の時間」の実践における中間発表時の学習活動の実態を明らかにすることを目的とした.その実践は,Project-based learningに基づき,専心活動と反省的思考の導出を重視し,探究的な学びをキャリア形成につなげることを意図していた.中間発表時の振り返りについて共起ネットワーク分析を行ったところ,学習者は,大学教員が提示した領域テーマに関する専門的な探究活動に難しさを感じており,その難しさに対する具体的な対応策を立てている傾向が強いことが明らかとなった.
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高沼 有佳, 谷塚 光典, 森下 孟
2024 年 2024 巻 2 号 p.
157-162
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,教員志望の学生の割合が減少傾向にある.そこで本研究では,教員養成学部生が教員の労働環境のどのような点について問題意識を持っているのか,また教員の労働環境に関する問題が教育実習を終えた教員養成学部生の進路希望にどのような影響を与えているのかについて明らかにした.アンケート調査を行った結果,調査対象とした教員養成学部生の多くが,教育実習後も継続して教員を目指し続けており,そのような学生にとって労働環境の問題はキャリア選択の要因にはならなかった.一方で,教員志望をやめた学生だけではなく,教員志望の学生も労働環境への問題意識を抱えており,学生らが教職の実態を知り,キャリア選択に活かせるようにしていくことが大切であると示唆された.
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遠藤 みなみ, 八木澤 史子, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
2024 年 2024 巻 2 号 p.
163-170
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,若手教師を対象とした研究の動向を明らかにし,若手教師の育成や支援に対する研究の展望を試みた.その結果,研究目的については「理論指向」の研究に比べ,「実践指向」の研究が少なかった.研究内容については「授業の計画・実施における思考や行動」,「メンタリング・コーチング」,「教職全般」に関する研究が多く,「授業におけるICT活用」,「教員養成」,「授業の計画・実施における授業観」に関する研究が少なかった.これらの結果から,近年の教師の研修体制や,授業における学習環境や学習観の変化に合わせた若手教師の具体的な支援策を検討していくことが課題であると示唆された.
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―オランダとノルウェーの場合―
小柳 和喜雄, 木原 俊行, 野中 陽一
2024 年 2024 巻 2 号 p.
171-178
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本報告では,大学を基盤とする教師教育者の職能成長,専門的な学びの支援に関わるヨーロッパでの取り組みに目を向けている.その目的や進め方に特徴的な違いがあるオランダとノルウェーの大学での取り組みを取り上げ,プロジェクト報告等を通してその推進リードしてきたそれぞれの中心人物から聞き取りを行った.結果,教師教育者の職能成長の支援は,教師の教師としての教師教育者の役割を拡張し,研究者としての新たな役割を探求することに価値を置く傾向や,従来の学術モデルに近く教育,研究,大学への貢献に価値を置く傾向など多様に展開されていた.その背景には,国の教育政策,誰がその国の教師教育者として存在してきたかといった歩み,教師教育者コミュニティのアイデンティティの確立などが,教師教育者の職能成長支援に影響していることが明らかになった.
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藤木 卓, 小清水 貴子
2024 年 2024 巻 2 号 p.
179-182
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
総合的な学習の時間に対する印象の変化に関する気づきについて,深いアプローチの観点からその特徴を明らかにすることを目的に検討を行った.その結果,件数にばらつきはあるが,発展的気づきを含めて全観点の気づきが確認できた.多く見られたものは,「既有知識との関連」「パターンや原理の探索」「根拠と結論の関連」観点の気づきであった.また,観点が重複する気づきも見られた.そして総合的な学習への印象は,希薄なものから確固たるものに変化したことが確認できた.
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渡邉 光浩, 堀田 龍也
2024 年 2024 巻 2 号 p.
183-190
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
大学の教職課程において令和4年度入学生から必修となった新科目「情報通信技術を活用した教育の理論及び方法」について,令和5年度,K短期大学での実施前・実施後に,文部科学省実施の教員のICT活用指導力調査に準じたアンケート調査を行った.結果を比較したところ,ICT活用指導力に関する自信は実施後の方が高く,新科目実施の効果を確認できた.また,K短期大学は新科目を8時限で実施したが,同科目を15時限で実施したS大学の実施後のアンケート結果と比較したところ,ICT活用指導力に関する自信に有意差はなかった.
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CHEN XI, 谷塚 光典, 森下 孟
2024 年 2024 巻 2 号 p.
191-196
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
STEAM教育の重要性と必要性が知られているとともに,現在中日小学校ではSTEAM教育の転換に関する試みと模索が行われている.現在,中日小学校STEAM教育の発展過程で直面している共通の課題のひとつは教員の指導力向上である.本研究では,文献調査等を通じて中日両国のSTEAM教育発展に向けた対策,中日両国のSTEAM教育に関わる教員の指導力をどのように高めたらよいか,教員養成システム構築,適切なカリキュラム設計,有効な評価手法設定の観点から考察し,中日両国の小学校でSTEAM教育の実施において教員指導力向上を推進するために,STEAM教育に対する顕在的な価値観と実践的意義.
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舟生 日出男, 松名 由香, 辻 萌香, 久保田 善彦, 鈴木 栄幸
2024 年 2024 巻 2 号 p.
197-200
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
近年の学力低下の問題は教職課程の学生にも及んでいる.その結果,教師としての実践力が低下しており,学校現場への影響も大きくなっている.学力低下の問題はこれまで,学生個人の能力や態度など内的な問題として捉えられ,動機付け理論から扱われることが多かった.本研究ではその要因を,学びを愉しむ感覚や態度の欠如にあると捉える.本発表では,教職を志望する学生を対象に,大学入学直後における学びを愉しむ態度,及び,半期に及ぶ学習を通したその変容について質的調査を行った結果について報告する.
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立石 力斗
2024 年 2024 巻 2 号 p.
201-207
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
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本研究は,知的障害教育における情報端末の活用に関する研究を展望した.データベースによる検索と,4つの選定条件によって,分析対象となる99本の論文を選定した.選定した論文は,7つのカテゴリーによって分類した.また,授業に関する実践的研究については,情報端末の活用目的を分類した.その結果,「実践研究」が多くを占めているが「学習者の資質・能力」等に関する研究は十分に行われていないこと,実践的研究においては,コミュニケーションや書きに焦点を当てた研究が多いことなどが明らかになった.
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外﨑 顯博, 立石 力斗
2024 年 2024 巻 2 号 p.
208-213
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,通常学級における社会科の学習に着目し,書くことに困難さのある児童のタブレット端末の活用状況とその意識を明らかにすることである.公立小学校第5学年に在籍し,書くことに困難さのある5名の児童に焦点を当て,アンケート調査を実施した.その結果,対象児童全員が社会科の学習において書くことに困難さを感じており,調べたことや自分の考えをまとめる場面での困難さが顕著であった.一方で,児童は学習場面に応じてタブレット端末の様々な機能を活用しており,書くことの困難さの解消に有効に機能する可能性が示唆された.また,児童はタブレット端末を学習に不可欠なツールとして捉えており,主体的・対話的で深い学びの実現につながる可能性が示された.
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松田 稔樹
2024 年 2024 巻 2 号 p.
214-221
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
研究報告書・技術報告書
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Neo教育工学は,教育的手段を用いてSDGs等のあらゆる問題の解決を目指す学問である.例えば,「質の高い教育をみんなに」を実現する方法には,ツールの開発以外に教育制度改革も考えられる.また,ツールを開発しても教育制度が整わなければ格差を拡大させるだけである.本稿では,教育的手段としての教育制度に着目し,より良い社会の実現に向けて現状の制度の利点・問題点を検討し,それを改善するための方法論を指導する教職課程あるいは公民科のカリキュラムについて考える.
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豊福 晋平, 今度 珠美, 堀江 亮次, 松島 貴紀
2024 年 2024 巻 2 号 p.
222-229
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
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雲南市はGIGAスクール環境整備と並行し,市内全校を対象としてデジタル・シティズンシップ教育プログラムを継続展開している.4年目の現在は日常的活用・運用を前提とした授業内容への深まりも見られるようになった.授業実績の分析とともに学校の情報教育担当者を対象にアンケート調査を行ったところ,デジタル・シティズンシップが学校の具体的課題・実態に添った形で活かされ,日常的に端末を利用する学校では,課題に対する教育・指導の必要性が低減される傾向が見られた.
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彦田 奨貴, 安里 基子, 中川 哲, 堀田 龍也
2024 年 2024 巻 2 号 p.
230-237
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
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本研究では,生徒が小テストとその後の振り返りに取り組む過程で,学習の自己調整に対する意識の向上を促進することを目指して,中学校理科における形成的評価としての小テストCBTを設計・試行し,小テストCBT後に振り返りを行った.小テストCBTはGoogleフォームを用いて作成し,生徒が解答直後に採点結果や解説等を確認できるようにした.振り返りの文字数を分析した結果,第1回よりも第2回の方が生徒の振り返りの文字数が有意に増えたことなどが確認された.
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高澤 良輔, 登本 洋子, 溝上 慎一
2024 年 2024 巻 2 号 p.
238-241
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
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本研究は,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校の生徒を対象に,SSHプログラムの参加が探究的な学習にどのような影響を与えているかを調査したものである.各群の比較によると,SSH参加者は「総合的な探究の時間」のみで学習した生徒と比べて,課題の設定に「教科等の学習内容」の影響が強くみられると回答した一方,「日常生活から感じる疑問」に関してはその影響が低いと回答する結果となった.
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水野 一成, 近藤 勢津子, 吉良 文夫
2024 年 2024 巻 2 号 p.
242-245
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
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小中学生におけるICTスキルを数量化理論第III類によって類型化を実施.その結果「基本スキル」「応用スマホスキル」「発展パソコンスキル」に分けることができた.この分類を利用し,各学年のスキル高低群を情報活用能力の得点によって比較した.その結果,低い学年では,比較的基本スキルに関して,情報活用能力との関係が確認できた.一方,高学年では高スキルに関して,多くの項目で関係が確認できなかった.
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玉田 和恵, 松田 稔樹
2024 年 2024 巻 2 号 p.
246-249
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
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Society5.0の実現に向け,自分が問題に直面した際に,高度情報技術を活用して目的や解決策を適切に発想し,判断できる人材を育成することが急務である.本研究では,当該人材を育成するために,問題解決の縦糸・横糸モデルを活用して実施している江戸川大学メディアコミュニケーション学部情報文化学科のキャリア教育の取り組みについて検討し,キャリア教育はどうあるべきかを考察する.
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―平日と週末における食事内容の傾向の調査分析―
中山 洋, 藤倉 純子
2024 年 2024 巻 2 号 p.
250-253
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
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食育基本法の推進に伴い,小学校で使用する効率的な食教育教材の開発が必要となっている.事前調査では,食育支援システムを活用した食育・栄養教育を実施することで,適切な食育に対する意識向上を促すことができた.しかし,これは食時に対する行動の変化にはつながらなかった.そこで本研究では,食事内容の改善案を提示することで,平日と週末の詳しい食事内容の傾向を提示することで,食事内容の意識の改善を行うことができた.
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今度 珠美
2024 年 2024 巻 2 号 p.
254-259
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
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デジタル・シティズンシップは欧米で広く行われるメディア教育である.ユネスコでは「情報を効果的に見つけ,アクセスし,利用し,創造し,他のユーザーやコンテンツに積極的,批判的,慎重かつ倫理的な態度で関わり,安全かつ責任を持ってオンラインやICT環境を航行し自分自身の権利を認識する能力」と定義される.本稿では,日本におけるデジタル・シティズンシップ教育理論の形成に向けて,シティズンシップ教育の議論,ISTEの情報教育基準,コモンセンス財団のDC理論,ユネスコの教育政策を整理する.
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安里 基子, 堀田 龍也
2024 年 2024 巻 2 号 p.
260-267
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
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本研究では,教科書に掲載されているQRコードからリンクしている学習コンテンツ(QRコンテンツ)による学習支援について検討するために,令和6年2月に発行された小学校の社会科教科書におけるQRコンテンツを,その内容ごとに分類した.その結果,確認された計947件のQRコンテンツのうち,最も多かったのがワークシート(398件,42.1%)であることや,教科書に掲載されている資料に関するQRコンテンツは読解支援の機能が付与されていることが多いこと等が確認された.
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大久保 紀一朗, 遠藤 みなみ, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
2024 年 2024 巻 2 号 p.
268-275
発行日: 2024/07/13
公開日: 2024/07/17
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本研究では,中学生を対象に文章理解モデルで示されている表層理解,テキストベース,状況モデルの3段階の読解レベルを援用した,メディア読解について学ぶ学習を実践し,その効果を検証した.その結果,実践した学習によって,学習したメディアに関わらず,メディアの特徴や自分なりの読み解き方のポイントを学べたことが示唆された.加えて,メディア・リテラシーに関する質問紙調査の結果より,文章理解モデルを援用した学習によってメディア・リテラシーが育成されること,メディアを構成するものや読み方の理解については,メディアの違いによる影響を受ける可能性が示唆された.
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