2022 年 2022 巻 4 号 p. 112-119
本研究の目的は,小学校算数科における成績下位群の児童が適応学習教材を自主的に取り組むようになったプロセスを明らかにすることである.自主的に取り組むようになった2名の児童と学級担任,管理職へのインタビューのデータをM-GTAで分析し有機的統合理論の視点から考察した.その結果,算数教室での個別学習によってQubenaを使用する時間が確保され,技術的なサポートや情緒的なサポートを受け,算数の学習態度が改善されてから自主的な使用につながったというプロセスであるという可能性が考えらえた.また,使用する動機づけを高めてからボトルネックを取り除く必要性や,間違えた問題の解き直しをする動機づけが同一化的調整段階の手前,もしくは同一化調整段階に進まないと自主的な取り組みは見られなかったことから,Qubenaの効果を実感させる支援の必要性が示唆された.