日本食品工学会誌
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原著論文
乳酸菌由来バクテリオシンを用いた水麹工程における火落ち関連細菌Lactobacillus hilgardiiの増殖阻害
石山 洋平高田 剛臣中西 利公金桶 光起渡邊 健一柳田 藤寿陳 奕伸高屋 朋彰田中 孝明谷口 正之
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2009 年 10 巻 1 号 p. 45-53

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抄録

Lactococcus lactis subsp. lactis C101910(C101910)およびLactococcus lactis subsp. lactis NBRC 12007(NBRC 12007)が生産するバクテリオシンを用いて、清酒製造プロセスの中の水麹工程において、火落菌であるLactobacillus hilgardiiの増殖を阻害することを検討した。C101910およびNBRC 12007が生産するバクテリオシンは、pHと温度に依存して、プロテアーゼ活性を有する麹抽出液中でゆっくりと失活した。しかし、C101910およびNBRC 12007が生産するバクテリオシンの活性は、pH 3、10℃の条件で12時間処理した後でも、それぞれ初期の活性の約50%と約70%が残存していた。既に報告した方法に従って調製したC101910およびNBRC 12007由来のバクテリオシン溶液を、麹抽出液(pH 3、10℃)にそれぞれ5%(v/v)および1%(v/v)の割合で添加することによって、L. hilgardii の生細胞数は12時間以内に、初期に添加した濃度(2.5-3.2×105 cells/ml)に比べて検出限界(1.0×102 cells/ml)以下まで減少した。米麹と乳酸溶液を含む水麹(pH 3、10℃)中では、C101910およびNBRC 12007由来のバクテリオシンのL. hilgardiiに対する増殖阻害活性は、麹抽出液中に比べて低下した。しかし、バクテリオシン溶液の添加割合を10%にすることによって、L. hilgardiiの生細胞数は、初期に添加した値(1.0×105 cells/ml)に比べて2オーダ以上減少した。

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© 2009 一般社団法人 日本食品工学会
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