日本食品工学会誌
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総説
食品素材の集合化を利用した生体適合性ナノ/マイクロ分散系の作製
市川 創作黒岩 崇Chuah Ai Mey中嶋 光敏
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2009 年 10 巻 4 号 p. 207-213

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抄録
食品素材の分子相互作用を利用した集合化・組織化により,ナノからマイクロメートルサイズの微細粒子分散系を作製する3つの系を紹介した.(1)改質レシチンとキトサンとの相互作用を利用して粒径120~350 nm程度のナノ粒子を作製し,タンパク質などの水溶性物質を封入できた.(2)改質レシチンを乳化剤としたO/Wエマルションにキトサンを添加し,油滴表面で分子集合体を形成させることでエマルション油滴をコーティングし,熱安定性および保蔵安定性を向上できた.(3)キトサンおよびCMCの各酵素加水分解物を混合することでポリイオンコンプレックスを形成させ,タンパク質や核酸断片などの荷電性生体高分子を効率的に内包化した粒径200 nm程度のナノ粒子を作製できた.何れの系も,溶液あるいは懸濁液を混合するだけのシンプルな操作により,様々な特性やサイズ,形態の分散系を調製できた.
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© 2009 一般社団法人 日本食品工学会
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