抄録
配管系CIPのファイナルリンス工程における洗浄水削減を目指して,空気と水から成る環状流の適用を試みた.すなわち,ステンレス鋼製の1S配管を水平と垂直に配置した場合について,水飴をモデル汚れとして,空気と水の二相流による洗浄を各種流速条件にて行い,残留汚れの経時変化を検討した.空気の流速が小さい場合には,完全な環状流は形成されず,管壁上部が洗浄困難となり,極めて低い洗浄効率となった.空気の流速を600 L/min以上に設定すると環状流が形成され,水のみの通常洗浄に比べて,洗浄効率を大きく低下させることなく,使用水量を10%程度にまで低減可能であることが示された.直管以外のT字管やエルボ,ダイアフラムバルブを含む配管系についても洗浄効果を検討した.この場合には,二相流洗浄の洗浄時間は通常の水洗浄の2倍程度必要であったものの,使用水量は20%程度にまで低減可能であることが示された.