日本食品工学会誌
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原著論文
加熱劣化した食用油の自動ダイナミックヘッドスペースGC/MS法を用いたにおい成分分析と官能評価との関係について
佐野 貴士武波 慎也今義 潤白砂 尋士
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2014 年 15 巻 2 号 p. 87-94

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抄録

本研究では,食用油を高温長時間加熱した際に生じるにおい特徴とそれに及ぼすにおい成分の影響を明らかとするため,国内でフライ油として主に用いられている,キャノーラ種菜種油,大豆油,High-oleic Low-linoleic種菜種油,パームオレインの4種の油を用い,180°Cで長時間加熱した際の官能評価と自動DHS(Dynamic Head Space)を用いた分析を実施した.その結果,「全体のにおい強度」とにおい成分の面積の合計値が非常に高い相関性を示したことから,本分析が油脂のにおいを評価するのに有用な手法であることが明らかとなった.官能評価で得られたスコアと各有臭成分の面積値を標準化し多変量解析を行った結果,油脂を長時間加熱した際に発生する「酸敗臭」や「刺激臭」といったにおいには,とくにリノール酸由来分解物が影響を及ぼすこと明らかとなり,その発生には油脂を構成する脂肪酸が影響を及ぼすことが示された.

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© 2014 一般社団法人 日本食品工学会
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