日本食品工学会誌
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原著論文
亜臨界水を用いたイヌリン加水分解物の質量分析
伊藤 貴則清水 直人
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2014 年 15 巻 3 号 p. 165-172

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抄録
亜臨界水を用いてイヌリンからDFA IIIの工業的生産法の確立を目的とし,亜臨界水の処理温度(設定温度:150-170℃,圧力:3.0-5.0 MPa)がイヌリンの加水分解に与える影響について調べた.イヌリン加水分解物の質量分析結果から,イヌリン加水分解物の構成成分はDFA IIIを含むジフルクトース無水物(DFAs),単糖類,オリゴ糖(重合度:2-12)などであった.150,155,160℃の3水準で調製したイヌリン加水分解物を構成するオリゴ糖の重合度は2-12であるのに対し,165,170℃の2水準で調製したオリゴ糖の重合度は2-4であった.また,紫外・可視スペクトル測定において,イヌリン加水分解物にはHMFやフルフラールなどの成分を含むことも確認した.本方式によってイヌリンからDFA IIIを変換する最適温度域は160-165℃であった.本研究は,上述した亜臨界水の状態においてイヌリンからDFA IIIを生産できることを示した.
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© 2014 一般社団法人 日本食品工学会
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