日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
ISSN-L : 1345-7942
原著論文
チェダーチーズの粘弾性試験法に基づいた食感評価モデルの開発
守田 愛梨荒木 徹也池上 翔馬岳上 美紗子住 正宏上田 玲子相良 泰行
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 16 巻 3 号 p. 185-200

詳細
抄録

チェダーチーズの粘弾性計測パラメータと官能評価スコアの相互関係解析に基づいて,高精度で官能評価スコアを予測する機器試験法の組み合わせを選択する方法およびPLS解析法とANNモデリングを併用して品質と嗜好度を評価するモデルを提唱した.供試サンプルとしてチェダーチーズ10品を選定し,破断,クリープおよびテクスチャの3試験法により粘弾性パラメータを取得した.他方,食感属性用語10語を含む官能評価用語38語を選定し,それらを使用した分析型官能評価と消費者嗜好度調査を実施して官能評価スコアおよび嗜好度を得た.供試サンプルの2バイト咀嚼による荷重経時変化曲線に基づいて食感と粘弾性計測特性との時系列的対応関係を解釈し,口腔内で感じる食感変化を粘弾性試験法の組み合わせによって良好に予測する方法を提示した.この方法ではPLS回帰分析の予測精度の比較によって食感評価スコアと良好な対応を示す粘弾性試験法の組み合わせを特定した.さらには,それぞれの試験法の組み合わせで得られた粘弾性パラメータを適用して食感評価スコアおよび嗜好度を予測するANNモデルを構築した.この方法の導入によって,食感評価スコアの予測に最も寄与する粘弾性試験法の組み合わせを選択してANNモデルを操作することが可能となった.

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本食品工学会
次の記事
feedback
Top