抄録
循環流壁面冷却型界面前進凍結濃縮装置を用いてブルーベリー果汁の凍結濃縮を行い、糖度を11.2Brixから27.2Brixに濃縮し、有機酸分布、香気成分分布について、濃縮前後の分布プロフィールにほとんど変化のない高品質濃縮が可能であることがわかった。凍結濃縮果汁を発酵させてブルーベリーワインを試作した結果、アルコール濃度は11.1vol-%となり、補糖を必要とせず、十分に高いアルコール濃度が得られることがわかった。ブルーベリーワインの有機酸分布は、発酵により一部の有機酸が増加、香気成分分析においては、発酵により原果汁香気成分のいくつかは消失し、これに代って、発酵生産物が大きく増大したものの、全体としてはブルーベリー香気成分を十分保持しており、本方法によりこれまでに無い、高成分濃度で香気豊富な新しいタイプのブルーベリーワイン製造への可能性が示された。