日本食品工学会誌
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総説
バイオ医薬品の乾燥:近年の進歩および新技術開発と今後の展望
Alex LANGFORDBakul BHATNAGARRobert WALTERSSerguei TCHESSALOVSatoshi OHTAKE
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2018 年 19 巻 1 号 p. 15-24

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抄録

ほとんどのバイオ医薬品は水分を多く含み,その量が80%w/wを超えるものも少なくない.そのため乾燥プロセスを用いた水の除去は,製品の取り扱いを容易するだけでなく,運送コストの低減,保存安定性の向上など,数々の利点をもたらす.一般的に,バイオ医薬品の生産工程での乾燥は,ほとんどが凍結乾燥法で行われているが,この方法には生産コスト高,乾燥時間が長い,エネルギー効率が低いなどの欠点がある.バイオ医薬品の乾燥技術としては,現在も凍結乾燥が信頼性の高い標準法であるが,凍結乾燥がもつ課題を克服するための,代替となる新しい乾燥技術の開発と評価が進んでいる.これらの乾燥技術には共通の目的(脱水和)があるものの,エネルギー効率や乾燥対象物に与える影響が異なるため,その特性に合わせた選択と最適化が必要となる.この総説では,種々の新しい乾燥法の長所と欠点を凍結乾燥法と比較して考察し,これらの技術をバイオ医薬品の乾燥に応用する可能性を論じた.

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© 2018 一般社団法人 日本食品工学会
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