日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
ISSN-L : 1345-7942
解説
シス異性化による物性変化を利用したカロテノイド加工の効率化
本田 真己
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 21 巻 1 号 p. 1-10

詳細
抄録

自然界に広く分布する天然色素であるカロテノイドは,強力な抗酸化作用を有し,癌や動脈硬化などの様々な疾病予防効果を示すことから,近年その摂取が注目を集めている.カロテノイドは一般に,天然において二重結合がすべてトランス体のオールトランス型として存在する.オールトランス型カロテノイドは種々の溶媒への溶解度が低く,結晶性が高いため,抽出や乳化,微粒子化などの加工効率が低いことがしばしば課題となる.著者らは,カロテノイドの二重結合をシス異性化すると,その物性が大きく変化することを明らかにした.すなわち,オールトランス型カロテノイドをシス異性化すると,溶媒への溶解度が著しく向上することに加え,結晶性が低下してアモルファス状になることを示した.これらカロテノイドのシス異性化による物性変化を利用して,カロテノイド加工の効率化を検討した研究成果を,本稿で概説した.加えて,著者らが開発した加熱,光照射,触媒添加によるカロテノイドの効率的なシス異性化方法についても説明した.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本食品工学会
次の記事
feedback
Top