日本食品工学会誌
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解説
動物エキスからの高純度イミダゾールジペプチドの生産法と生活習慣病予防食品の開発
佐藤 謙一郎塩谷 茂信柳内 延也
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2020 年 21 巻 3 号 p. 89-94

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抄録

筆者らは,疲労回復や記憶力改善効果が期待されるイミダゾールジペプチドの動物エキスからの分離精製法を開発した.本法により得られた高純度イミダゾールジペプチドは,ほぼ無味・無臭であり,ナトリウムやクレアチニンなどの不純物がなくなったために,腎機能が低下している高齢者でも安心して摂取できる機能性食品素材である.筆者らは高純度イミダゾールジペプチドを使用した臨床試験を実施し,中高年の男性成人に対し,高純度イミダゾールジペプチド400 mg,アスコルビン酸300 mg,およびフェルラ酸20 mgを含む抗酸化剤3種配合のドリンクを8週間摂取させると,血中リンパ球DNAの酸化障害を改善した.さらに軽度認知障害の高齢者へイミダゾールジペプチドを1 g/日を12週間摂取させると,臨床的認知尺度,ミニメンタルステート検査のスコアが改善を示した.これらの結果から,高純度イミダゾールジペプチドは生活習慣病を予防する食品素材の1つであることが示唆された.

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