日本食品工学会誌
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解説
水蒸気–水二相バインダーを用いた流動層造粒における工程解析
五月女 格
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2021 年 22 巻 1 号 p. 1-13

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抄録

流動層造粒はインスタントスープやインスタント粉末飲料などの粉末食品の分散・溶解性を改善するために広く使用されている操作である.食品粉末の流動層造粒では一般的には多糖類水溶性をバインダーとして噴霧し,微粒子を径の大きな顆粒に成形する.粉末に添加される水分は顆粒の成長に対して本質的な役割を果たすが,多量の水分添加は顆粒製品の品質変化を引き起こし,また造粒とその後の乾燥工程に要する時間を増加させる.本稿では水蒸気および水を用いた気液二相バインダーを用いた新しい流動層造粒技術の開発過程について紹介する.本稿では,はじめに従来の液体バインダーを用いた流動層造粒において,バインダー噴霧条件および時間によって流動層含水率変化を記述するモデルについて紹介する.次に気液二相バインダーを用いた場合に起こる水蒸気の粉末への凝縮と水滴の蒸発を考慮して拡張した流動層水分変化モデルについて紹介する.液体バインダーおよび気液二相バインダーにて流動層含水率変化が同等となる条件にて顆粒成長を比較するため,提案したモデルを使用して,それぞれのバインダーの供給速度を決定した.気液二相バインダーを使用することにより,従来の液体バインダーと比較して,粉末に対する水分添加量が40~84%へ削減できることが確認された.

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© 2021 一般社団法人 日本食品工学会
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