食品加工技術の中には,異分野での技術シーズを導入して開発,普及したものも少なくない.これらの食品加工技術の開発の大きな駆動力は新たな食品を求める実需者ニーズである.ここでは,社会状況によって変化する様々な実需者ニーズに対応して,高品質,さらに高付加価値の食品を開発,実用化の事例を紹介する.1つ目は2軸エクストルーダーを用いた食品加工技術(組織化のメカニズムの解析,射出成形法による汎用的な高水分組織化素材,特定者用食品素材化,代替肉素材製造など)である.2つ目は,2軸スクリュー系装置による環境保全型の農産物加工技術(効率的な搾油や脱水などの固液分離処理,射出成形処理による生分解性素材化など)である.そして3つ目は,アクアガス加工技術(過熱水蒸気に微細水滴を含有する加熱媒体による病院食などを想定した高品質農産物処理など)についてであり,それぞれの開発の進め方やニーズへの対応を含めて,解説した.