日本食品工学会誌
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イグサの機能性と食品産業への新展開
森田 洋塩澤 正三志水 由紀宮野 麻紀子稲田 剛夫
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2002 年 3 巻 4 号 p. 99-104

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抄録

イグサはそのままでは灰汁が強く食用にあまり適さないが, 3分間水煮処理をすることにより, 嗜好性を高めることができた.イグサの食物繊維含量は他の農作物に比べて, 非常に高い値であり, 無水物換算で100gあたり63gもの量を占めている.イグサは食中毒細菌や腐敗細菌に対して, MIC値で0.78~100μg/mlの抗菌性が認められた.抗菌成分は熱や酸に強く, 25~100℃で60分間, またはpH3~9において安定であった.また, 30℃, 3日間保存したイグサ無添加ケーキの一般細菌数はイグサを40g/100g-cakeの濃度で添加したケーキに比べて, 約2オーダー多かった.15℃, 4日間保存したイグサ無添加豆腐保存液の一般細菌数は, イグサを0.1g/mlの濃度で添加した保存液に比べて, 約2オーダー多かった.イグサは4200単位/gのスーパーオキサイド消去活性 (SOD様活性) を有していた.今後イグサの用途を健康食品から医薬品にまで広げ, 畳以外の新しい産業を創出することにより, 低迷している日本のイグサ産業の需要拡大を進めていくべきであると考えている.

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