日本食品工学会誌
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固形および高粘度食品の高温短時間マイクロ波殺菌のための基礎研究
高富 哲也伊東 章城 斗志夫渡辺 敦夫
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2004 年 5 巻 4 号 p. 235-241

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抄録

本研究は, 固形食品の高温短時間殺菌処理による色調やフレーバーの改善効果と, 消費拡大が期待される風味付き魚肉ソーセージ, かまぼこ, 味付けツナ, ジャムなどの固形食品を中心とした流動性の乏しい食品 (以下固形食品) の製造を目的とした.ここでは成分調整したモデル溶液を使用し, 食品内部の温度を不均一にさせる原因の解明とその対策について研究を行い, 以下の結果を得た.
モデル溶液の加熱テスト結果より, 食品内部温度を不均一にする要因のひとつはNaClであることを確認した.食品の殺菌においては, 内部の均一な殺菌温度が必須であり, その対策として有効な方法はエッジ効果を軽減することである.
つまり, 食品を充填包装密封し, その周囲を蒸留水の厚さが2mmとなるように浸漬させ, 見かけ上の食品の周辺部 (エッジ部) を蒸留水が代用することによってエッジ効果を低減させることが可能であった.
また, その蒸留水の半減深度は充分深いため, 食品の加熱効率を著しく低下させるものではなかった.この結果をふまえて, 今後は連続殺菌システムを構築するとともに, 種々の固形食品におけるマイクロ波特性および殺菌の研究を進める予定である.

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