日本食品工学会誌
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ガラス状態にある凍結乾燥食品のメイラード反応速度に及ぼす還元糖の影響
川井 清司萩原 知明高井 陸雄鈴木 徹
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2005 年 6 巻 1 号 p. 59-64

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抄録
ガラス状態にある食品は並進・拡散に基づく分子運動性が抑制されており, 諸々の劣化反応速度も著しく低下すると考えられている.しかし筆者らは, メイラード反応物 (グルコースとリシン) を様々なガラスマトリクスに包埋した凍結乾燥食品を用いた研究より, メイラード反応はそのガラス転移温度 (Tg) 以下でさえ速やかに進行することを報告した.このメカニズムについて追及するため, ガラス状トレハロースマトリクスにリシンと様々な還元糖を包埋した凍結乾燥食品に関して, そのTg以下におけるメイラード反応速度を調べた.その結果, それぞれの試料のTgは同程度であったが, メイラード反応速度はまったく異なることが明らかとなった.また, 含まれる還元糖自身のTgが高いほどメイラード反応速度は遅くなる傾向が見出された.ガラスマトリクス全体の分子運動性だけでなく, 還元糖自身の分子運動性もメイラード反応速度に寄与している可能性が示唆された.
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