日本食品工学会誌
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食品の品質を革新する食品工学の役割り
辻本 進
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2005 年 6 巻 3 号 p. 163-170

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抄録
食品製造における品質の作りこみに食品工学が果たす役割りは大きい.まず, 食品に求める「おいしさ」のレベルが発展を遂げ, 単なる呈味だけではなく, 香りを対象に加えた「風味」やテクスチャーを加えた「食味」の段階, さらには食感性が加わった総合的な評価が可能になり, より高い質を求めるようになってきている.これらのレベルのおいしさを作るのは工学的なアプローチが求められる.また, 食品製造では, 矢野俊正東大名誉教授が指摘されたように, 1) 原料の組織・構造が一定しない.2) 品質評価の客観性が低く官能評価だけに頼っている傾向がある.3) 食品加工プロセスでは同時に複数の変化を食品に与えるなど食品工学的な課題も多い.本稿では, 1) パン生地の混練状態の定量的把握, 2) レトルト殺菌の殺菌強度に与える因子の定量化, 3) 噴霧乾燥におけるフレーバー散逸の定量化を例に食品プロセスにおける食品工学の品質向上への役割りを示した.
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