日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
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食品乾燥工学および粉末化工学に関する研究
古田 武
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2006 年 7 巻 3 号 p. 153-161

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抄録
液状フレーバーの粉末化技術は, 安定化と操作性の向上を促す必須技術である.シクロデキストリン (CD) は環状マルトオリゴ糖であり, 分子空洞に疎水性物質を包接し, 安定化させる機能を有している.包接には水の存在が必須であり, CDに特有な最低水分量が存在することが明らかになった.CDに包接された疎水性フレーバーの徐放特性は, CDやフレーバーの種類, 徐放温度と関係湿度によって著しく変化した.中でも関係湿度の影響は顕著であり, 包接されたフレーバーの放出にも水の存在が深く関わっていることが明らかになった.疎水性フレーバーのO/Wエマルションを噴霧乾燥する時, 原液中のエマルションサイズが噴霧乾燥前後のフレーバー保持率に顕著な影響を与えた.噴霧乾燥フレーバーの徐放特性や酸化速度は, 保存温度や湿度に著しく影響され, 保存中の賦形剤構造の変化, 賦形剤のガラス転移温度が密接に関連していることが明らかになった.噴霧乾燥粒子のmorphologyやフレーバーの徐放挙動を共焦点レーザー顕微鏡 (CLSM) で定量化する手法を提案した.
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