日本食品工学会誌
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ナノ濾過膜を用いた醤油色素濃縮法の開発
古川 俊夫渡部 寛之榎坂 淳
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2006 年 7 巻 3 号 p. 181-188

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抄録

本研究は加工食品の品質評価において重要な役割を担っている色調の調整を左右する調味液の代表格である本醸造醤油の色番調整に関し, 加熱および非加熱濃色醤油の製法および品質差異について評価した.本醸造醤油のロット差に左右されない色素の濃縮法として, NF膜による膜濃縮法に着目した.このとき, NF膜による連続濃縮時の色素測定が課題であったが, Brix濃度の連続モニタリングが新規分析法として利用できることを見出した.NF膜エレメントの選定として色素の阻止率と濃縮時の醤油の粘度上昇を考慮して2種類のエレメントを用いる2段膜濃縮法を採用した.各種本醸造醤油の色番調整用に2種類の濃色醤油を添加し, 5種類のこいくち醤油の味と香りについて熟練パネルが評価した.NF膜法の超濃色醤油は, 加熱濃色醤油よりも試作した色番1のこいくち醤油で, 香りの嗜好性が有意に評価された.この理由は, NF膜によりこいくち醤油の特徴香であるHEMFなどの高沸点成分が濃縮強化されていることが考えられた.

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