日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
ISSN-L : 1345-7942
透過分光法による鶏卵鮮度の非破壊計測
―密封・開封・炭酸ガス中の全貯蔵条件を満たす鮮度予測―
喜多 裕子加藤 宏郎金 鉉台藤谷 伸一樫森 亜由子
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 8 巻 2 号 p. 83-88

詳細
抄録

鶏卵の鮮度指標には, 時間的指標である産卵後の経過日数と物理的鮮度指標のハウユニットがある.ハウユニットが低下する主原因は卵内の炭酸ガスの散逸であるとされている.開封貯蔵, 密封貯蔵, 炭酸ガス中の3種類の保存条件を設定し, 保存条件がハウユニットに与える影響を調べるとともに, 透過分光法により, ハウユニットと経過日数の非破壊計測を行った.その結果, ハウユニットの経時変化から, 炭酸ガスにハウユニットの低下を抑制する効果があることが確認でき, 水分蒸発はハウユニット低下に殆ど影響しないことがわかった.さらに, 全卵の吸光度スペクトルからPLS回帰分析を用いてハウユニットと経過日数の予測を行った結果, 3種類の異なる保存条件におけるデータを合わせて作成した検量線でも, 高い精度で鮮度予測が可能であるとわかった.すなわち, 保存条件に関係なく鶏卵の鮮度を非破壊計測することができた.

著者関連情報
© 日本食品工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top