抄録
Streptococcus bovisによる豆腐廃液 (TLW) を用いた生キャッサバのL-乳酸発酵における生成物阻害の影響を, 回分培養により検討した.
乳酸発酵における生成物と増殖速度は, 阻害物 (乳酸) 濃度の増加により, 徐々に低下した.生成物と比増殖速度への生成物阻害の影響を, 非拮抗阻害のLineweaver-Burkプロットによって確認した.生成物阻害の影響は次の2つの阻害定数によって評価した.すなわち, 生成阻害定数 (Ki) と比増殖速度阻害定数 (Ksi) である.それらは阻害物濃度の増大により減小した.富栄養培地のKi値とKsi値は, 栄養欠乏培地のKi値とKsi値よりも小さく, そしてそのような培地の中では, Ki値はKsi値よりも大きくなった.回分培養の結果は, 約4日間は非拮抗阻害モデルに合致したが, 4日以降は高濃度の阻害物のために, 阻害モデルに合致しなくなった.これにより, 培地中への乳酸の蓄積が生存細胞へのダメージを引き起こすことが明らかになった.