日本食品工学会誌
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人間の消化活動を指標とした食品品質評価に関する研究
―多次元信号処理による腸音検出精度の向上―
阪田 治騰川 雄裕金子 昌子佐竹 隆顕
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2008 年 9 巻 1 号 p. 51-57

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抄録
腸音は腸の蠕動運動に由来する生体音響信号である.腸音を用いたオーダーメイド食品のデザイン法の開発研究の一環として, 食品の種類が腸音に与える影響について検討を行っている.本研究においては, 膨大な量の腸音データの処理を目的とした自動腸音検出システムの構築に向け, 多次元信号処理による新しい腸音検出法の開発を行い, 高い腸音検出精度を実現した.その手法は, 既往の基礎研究の成果を元に, 独立成分分析, ウェーブレットフィルタリング, 周波数領域のパターンマッチング, 閾値処理等から構成されている.本研究の結果, 先行研究と異なる新しいウェーブレットフィルタを使うことでロバスト性が向上し, さらに新しい閾値処理によって取りこぼし率を減少させた.本研究で提案した手法の腸音検出精度を検証したところ, 検出率は平均99%であり, 一方, 誤検出率は2%未満であった.また, 270%以上の追加検出率を達成し, 実用に向け大きな知見が得られた.
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