日本食品工学会誌
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遠赤外線加熱を付加した過熱水蒸気処理によるバイオマスの炭化速度に及ぼす試料サイズの影響
伊佐 亜希子羽倉 義雄鈴木 寛一
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2008 年 9 巻 2 号 p. 91-98

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抄録

竹粉 (粒径0.2mm) および試料サイズを1mm, 2mm, 3mm角に揃えた木片を遠赤外線加熱 (FIH) を付加した過熱水蒸気 (SHS) 処理で炭化処理し, 試料サイズの違いが炭化速度に及ぼす影響について調べた.SHS温度180℃にFIH温度375, 400, 425, 450℃を付加して, 炭化温度を270, 280, 290, 300℃に調整した.また, SHS温度255, 265, 275, 285℃のSHS単独処理の場合とFIH付加に要する炭化エネルギを比較した.2つの炭化処理で過熱水蒸気生成速度は同じとした.
炭化速度は, どの試料においても一次反応速度式に従った.活性化エネルギの平均値は, 遠赤外線加熱を付加した過熱水蒸気処理の場合は137kJ/mol, 過熱水蒸気単独処理の場合は149kJ/molであった.これらの値は, 窒素ガス中での澱粉やセルロースの熱分解反応の活性化エネルギの文献値とほぼ一致した.試料サイズと炭化速度定数の関係は, いずれの炭化温度でも両対数紙上で直線で表された.SHS処理にFIHを付加した場合には, SHS単独処理の場合と比較してわずかな熱量の付加で炭化装置を高温条件にすることが容易であり, 遠赤外線ヒータの温度を高温にするほど炭化時間の短縮効果によって炭化に要する熱量は減少した.

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