食品と微生物
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宮崎県内河川水からの病原大腸菌の分離と病原性について
津曲 洋明武田 攻
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1988 年 5 巻 2 号 p. 95-100

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抄録

1986年5月上旬から1987年5月下旬にかけて, 宮崎県内の河川水から病原大腸菌の分離を試みた. その結果, 分離した大腸菌158株のうち病原大腸菌の血清に型別されたものは10株 (6.3%) であった. その内訳は毒素原性大腸菌 (Enterotoxigenic E. coli: ETEC) 該当血清型O159: K+に型別されたもの5株, 病原性大腸菌 (Enteropathogenic E. coli: EPEC) 該当血清型のO127a: K63型のもの1株, O128: K67型のもの3株, それに細胞侵入性大腸菌 (Enteroinvasive E. coli: EIEC) 該当血清型のO112ac: K66型の1株であった. これら分離株の生物学的性状についてはO159: K+に型別された5株はいずれもエンテロトキシン (LT, ST) を産生せず, Colonization Factor Antigens (CFA) 保有時のHAパターンIまたはII型を示さなかった. しかし, EPEC該当血清型のO127a: K63とO128: K67の4株はすべてHeLa細胞への付着試験でマンノース抵抗性の限局した付着を示した. この現象はSCALETSKYらの提案しているEPECの特異的付着パターンに類似した.

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