日本食品微生物学会雑誌
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スモークサーモンにおけるListeria monocytogenesの汚染状況および低温保存時の挙動
神 真知子楠 くみ子池島 伸至新井 輝義入倉 善久鈴木 敬子平田 一郎小久保 彌太郎丸山 務
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1994 年 11 巻 2 号 p. 107-111

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抄録
スモークサーモンの原材料の凍結紅サケおよび最終製品を対象にリステリア属菌の汚染調査を行った. その結果, 調査した凍結紅サケ60例のすべてが陰性であったが, 製品では76例中23例 (30.3%) が陽性であった. 陽性例の12例からL. monocytogenesが検出され, このほかL. welshimeri, L. innocua, L. seeligeriが認められた. 分離されたL. monocytogenesの血清型は1/2a, 1/2b, 1/2c, 3a, 3b, 4bの6型に型別された.
実験的に1g当たり102レベルにL. monocytogenesを接種したスモークサーモンを好気または嫌気包装して2および10℃に保存したところ, 好気包装では2℃保存で10日目に104~105レベル, 20日目には108レベルとなり, 10℃保存で5日目に107~108レベルに達した. 嫌気包装では好気包装と比較して若干発育が抑制される傾向が認められた. 原材料サケおよび最終製品のスモークサーモンを-20℃で保存した場合は, 実験的に接種した104~105レベルのL. monocytogenesはいずれも6カ月後も1オーダ程度の菌数減少にとどまった.
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