日本食品微生物学会雑誌
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イカ菓子から分離されたSalmonella OranienburgおよびSalmonella Chesterの増殖に及ぼす温度, pHおよび食塩濃度の影響とイカ菓子中での同菌の挙動
斎藤 章暢大塚 佳代子濱田 佳子小野 一晃正木 宏幸
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2000 年 17 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

A.乾燥イカ菓子から分離されたSalmonellaOranienburgおよびSalmonellaChesterの各種培養温度 (10~45℃), pH (3.8~6.6) および食塩濃度 (0~10%) 条件下での1%ペプトン水 (Tryptone;Difco) 中における動態を検討して以下の結果を得た.
1) S.Oranienburgは13~45℃ で, S.Chesterは13~42.5℃ の培養条件で増殖した.
2) S.OranienburgおよびS.ChesterともにpH4.4以下では減少した.
3) S.Oranienburgは10%食塩濃度で生残したが, S.Chester同濃度の食塩濃度では62時間後には不検出となった.
4) 異なる割合で同時に接種されたS.OranienburgとS.Chesterの比率は増殖中にほとんど変化しなかった.
B.サルモネラに汚染された3種類の乾燥イカ菓子を恒温 (25±1℃) 恒湿 (55±5%) 保存し, 汚染菌の動態を検討して以下の結果を得た.
1) 3種類のイカ菓子中のサルモネラは同様の経過で減少した.
2) イカ菓子中のサルモネラは, そうめん状でははじめ1.6×103cfu/gであったものが204日後まで, 短冊状では1.1×101cfu/gが70日後まで, 四角形のものでは1.1×104cfu/gが245日後まで検出された.
3) イカ菓子中のS.Oranienburg: S.Chesterは, はじめ6: 4であったが, 7日目には7: 3, 21日目には9: 1となった.

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