2005 年 69 巻 2 号 p. 83-90
東北沖太平洋の大陸斜面上部(水深200-500m)において,底魚群集で優占しているテナガダラの分布の季節変化を調べた.10月には高い密度で分布していたが,4月にはほとんど分布していなかった.操業船の漁獲記録から周年の分布密度を調べると,秋季から冬季に多く分布して,冬季から春季にかけて分布密度が減少することがわかった.東北海域に多く分布する10月の標本の年齢を調べると0+,1+,2+がほとんどであった.生殖腺指数は周年1%以下を示し,若齢で未成熟個体が東北海域に分布していると思われた,秋季に東北海域に来遊するテナガダラは,ツノナシオキアミ,キタノサクラエビ,トドハダカといった亜寒帯種のマイクロネクトンを捕食していた.したがって,亜熱帯種であるテナガダラは,亜寒帯種の餌生物を索餌するために,黒潮の勢力が強まる秋季に東北海域へ来遊していることが示唆された.