2005 年 69 巻 3 号 p. 156-164
2001年8月10-20日の期間,北海道噴火湾とその周辺海域においてソウハチCleisthenes pnietorum仔魚の摂餌生態を調査した。仔魚は成長とともに,初期餌料であるかいあし類ノープリウス(特にOithona similisとPseudcalanus newmani)からコペポダイトや尾虫類 Oikopleura属の1種へと主要餌生物を移行させていた。Microsetella の1種のノープリウスは調査海域に豊富に生息していたが,仔魚にはほとんど摂餌されていなかった。仔魚1個体が摂餌していた餌生物の平均個体数は08:55から高くなり,日没前後に最も高い値を示したことから,仔魚は視覚捕食者であることが示された。水域によってノープリウスの密度は変動していたにもかかわらず,仔魚1個体が摂餌していたノープリウスの個体数は異ならなかった。2001年夏季の噴火湾とその周辺海域において,摂餌開始期のソウハチ仔魚の飢餓による死亡の可能性は低いと考えられた。