2010 年 74 巻 3 号 p. 153-158
冬季の黒潮流域で優占する中層性魚類仔魚5種の鉛直分布を明らかにした.各種とも鉛直分布パターンに昼夜差はみられなかった.Diaphus slender type は25–80m層,オオクチイワシは30–75m層,アラハダカは35–80m層を中心に分布しており,これらの仔魚の分布は表層混合層内(0–80m層)で大きく重なっていた.ソコイワシとヨコエソはそれぞれ表層混合層から水温躍層にかけての30–100m層,55–100m層に分布中心があり,混合層内で他の3種と分布が重複していた. 表層が成層している夏季には中層性魚類仔魚の分布水深が種間で異なるという既存の知見を考慮すれば,冬季におけるこれらの仔魚の鉛直分布の重複は,80m以浅の表層水温の成層構造の崩壊と密接に関連していると考えられる.また各種の仔魚の水温躍層内の体長は混合層内のそれに比べて有意に大きく,成長に伴う中層への移動が示唆された.