2010 年 74 巻 3 号 p. 159-166
太平洋岸マイワシ資源が1990年代前半に急減したのとは対照的に,瀬戸内海中央部の燧灘では1990年代後半に漁獲量が過去最大となり,ニシン目3種(マイワシ,コノシロ,カタクチイワシ)仔魚が同時期に出現した.3種の初期生活史の比較研究を目的として,燧灘におけるマイワシ漁獲量急増期(1995–1998年)とその前後(1982,2008年)に仔魚の出現と空間分布を調査した.漁獲量変動に対応して1982年にはカタクチイワシが,1995年にはマイワシとコノシロが,2008年にはコノシロとカタクチイワシが5–6月のニシン目仔魚のなかで優占した.3種の仔魚がいずれも比較的多く採集された1995年には,コノシロとマイワシの水平分布が最もよく重複した.表層付近に集中する傾向が強かったコノシロ仔魚と,中-底層で多く採集されたマイワシおよびコノシロ仔魚との間で鉛直分布パターンが異なった.