2016 年 80 巻 2 号 p. 129-135
瀬戸内海において2003–2005年にヒラIlisha elongataを採集し,成長や成熟を調べた.採集された389個体の標準体長範囲は,幼魚では52–85 mm,未成魚・成魚では250–556 mmで,430 mm以上は97%が雌であった.成熟体長は雄が約300 mm,雌が約360 mmであった.GSIの変化と既報の卵の出現状況から,産卵期は6–8月と推定された.耳石縁辺部のチェックマークは年に1回,4–10月に出現し,耳石が年齢形質として有効であることが確認された.最高年齢は雌雄ともに10歳であったが,8歳以上は85%が雌であった.年齢と体サイズの関係は,von Bertalanffyの成長式により,雄:SLt=422.6(1-e-0.542 (t+0.166)),雌:SLt=497.1(1-e-0.414 (t+0.225))と表された(SLtはt歳時の標準体長mm).雌雄の成長式には有意差が認められ(p<0.01),雌の方が雄よりも大型化することが明らかとなった.