宍道湖のワカサギは1994年以来不漁が続いており,宍道湖漁業協同組合は産卵親魚の保護策として,主な産卵場である斐伊川の河口域を,産卵期に刺網操業禁止域としている.しかし,資源はいまだに回復しておらず今後,さらなる対策を検討する必要がある.その基礎資料とするため,資源量推定を実施した.ワカサギは砂礫に付着卵を生みつけるため,産卵数を調べることによって親魚の資源量を推定することが可能である.そこで,本研究では,卵数法を用いて資源量の推定を行った.2004年の産卵期に斐伊川内の主要産卵場の面積は242,987 m2,底質の深さ6 cmまでの単位面積(0.05 m2)当たりの卵数の平均値は88.4粒であり,深さ6 cmまでの産卵量は429,601,016粒と推定された.これより,産卵雌親魚資源尾数は39,247尾,雌雄の資源量は861 kgと算出された.しかし,底質を層別に調べた結果,ワカサギの卵は底質の深さ15 cmまで存在し,深さ6 cmまでの2.25倍であった.この値で補正すると産卵親魚資源量は1,937 kgと推定された.
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