2016 年 80 巻 3 号 p. 214-221
ニホンウナギの合理的な資源管理のためには,資源に対する天然ウナギ(成魚)漁業及びシラスウナギ(稚魚)漁業による漁獲圧力を等価的に評価することが重要である.そこで本研究では,漁獲圧力を同一次元にて等価的に評価・比較するための一つの手法を考案したとともに,それを用いて双方の漁獲圧力に関する相対的関係の歴史的推移を明らかにした.それによると,成魚1 tの漁獲は稚魚16.4–120.0 kgの漁獲に相当し,1970年代頃まで成魚漁業の方が稚魚漁業より漁獲圧力が明らかに強かったが,その後は両者が逆転し,稚魚漁業の方が支配的になったと考えられる.また,これらの結果をもとに,資源水準の歴史的推移及び資源の現状に見合ったニホンウナギの合理的管理手法について考察した.