浜名湖では,夜間の下げ潮時に流下するえび類をタモ網ですくう「えびすき」漁が行われている.2020年と2021年の夏では,「えびすき」によって5種のクルマエビ科が採集され,最優占種のクルマエビの体サイズには調査期間中に時系列的な変化は見られなかった.また,同じ調査日における雌雄間の体サイズには有意差はなく,多くの個体で生殖補器は完成していなかった.2022年と2023年の標識放流調査では,1個体が放流から2日後に放流と同じ場所で採捕された.これらから,浜名湖のクルマエビは夏に未成体として外海に移出するが,下げ潮によって一気に移出する個体だけではなく,下げ潮と上げ潮によって往復する個体もあると考えられた.標本のほとんどは秋に生まれて翌年の夏に加入する遅生まれ群であり,夏に生まれて当年の秋に加入する早生まれ群は見られなかったことから,早生まれ群を産出する大型の親が非常に少ないと推察された.