閉鎖性海域である久美浜湾(京都府)において,近年,養殖二枚貝の成育不良が起きている原因を探るため,毎月の縦断鉛直観測と定点における自動鉛直観測を実施し,餌料指標となるクロロフィルの時空間分布について調査した.その結果,クロロフィルが季節を問わず層状に分布しており,その極大層の深度は季節により変化した.極大層の深度は4月に6–10 mと最も深く,11月から12月ごろに5 m以浅と最も浅かった.6月から8月にかけて,下層で貧酸素水塊が発達すると,その直上である中層にクロロフィル極大層が形成された.このとき,養殖深度にあたる上層では,栄養塩は枯渇し,クロロフィル濃度が概ね5 μg·L-1以下であった.一年を通じ,湾内のクロロフィル分布は,貧酸素水塊の季節的な動態に強く依存していた.高クロロフィル層は特定の深度帯に偏在するため,海域全体の高い基礎生産が二枚貝養殖には十分に利用されていない可能性がある.