茨城県のイセエビは2010年代後半から漁獲量が急増しており,資源管理方策検討のための生物学的情報が求められている.本研究では,2023年の市場調査と2013–2023年の水揚記録を基に頭胸甲長組成と成熟状況を調査した.その結果,雌雄とも測定個体の75%が頭胸甲長63 mm以上で,他の主要産地より大型で高齢と推測される個体の漁獲割合が多いことが示された.また,雌の50%成熟頭胸甲長が52.9 mmであること,2年以上産卵を経験して漁獲される個体が多いことが示された.2023年の市場調査では抱卵個体が6–9月に確認されたが,2013–2023年の水揚記録と海水温データの解析からは,水温の高低によって年ごとの抱卵時期が大きく変化し,近年の海水温上昇に伴い,抱卵時期の早期化と長期化が起こっていることが示唆された.産卵期が変動するという本海域に生息するイセエビの特徴に合わせた管理方策が必要である.