三河湾北西部に位置する一色干潟において漁業生産回復を目的として実施された下水処理水中のリン濃度の増加運転が,本干潟のノリの色調およびアサリの現存量に及ぼす影響について調査を行った.下水処理場に近い調査点では栄養塩濃度が高く,ノリの色調は良好だった.また,リン増加運転を開始した月は植物プランクトンを主体とする懸濁態有機物の濃度が上昇した.増加運転を10月から開始した2018–2019年度に比べ,9月から開始した2020–2021年度はアサリの秋冬季減耗が軽減された.これらの結果は,下水処理水中のリン濃度の調整によって,アサリの資源量を増加できる可能性があることを示唆している.