抄録
マダイイリドウイルス(RSIV)病の感染防御における血清抗体の関与を検討するために,マダイ,ブリ,ヒラマサ,カンパチおよびイシダイについて受動免疫試験を行った。感染を耐過した個体群の血清を予め腹腔内に接種した試験区では,イシダイを除く全ての魚種で未感作な個体群の血清を接種した試験区と比較して有意に死亡率が低下した。ブリでは耐過魚血清から精製した抗体を接種した試験区でも有意に死亡率が低下した。ワクチンを投与した個体群の血清を接種した試験区では,ヒラマサとイシダイを除いて,有意に死亡率が低下あるいは生存時間が延長した。マダイとブリ類では, RSIV病に対する感染防御に血清抗体が関与する。