魚病研究
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論文
国内の養殖ヤマメで初確認された微胞子虫Loma salmonae
井上 僚柳田 哲矢
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2022 年 57 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

2019年に東京都内で養殖ヤマメの魚病診断を行ったところ,鰓に微胞子虫のキセノマが多数確認された。胞子の形態観察と計測を行ったところ,既報のLoma salmonaeのものと概ね一致した。また,リボソームDNAの遺伝子解析では 1,839 bpの塩基配列が得られ,北米のOncorhynchus spp.から得られたL. salmonaeの登録配列と99.9%一致した。以上の結果から,本研究では本微胞子虫をL. salmonaeと同定した。また,2019年10月~2021年7月までに東京都内の3養魚場でL. salmonaeの寄生が4例確認された。Loma salmonaeは北米およびヨーロッパのサケ科魚類養殖で被害をもたらしている。国内においては北海道で,Loma sp.の寄生報告が1例あるが,種同定されたのは初である。また,陸封型のヤマメを含めたサクラマスで寄生が確認されたのは世界初であり,ここに報告を行う。

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© 2022 日本魚病学会
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