魚病研究
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論文
日本の海産養殖魚で発生した新血清型Lactococcus garvieae感染症
南 隆之吉田 照豊西木 一生
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2023 年 58 巻 4 号 p. 146-152

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抄録

Lactococcus garvieaeⅠ型およびⅡ型を含む市販の混合ワクチンを投与した宮崎県の養殖カンパチで,2021年8月からL. garvieae感染症に類似した症状を呈する疾病が確認されるようになった。分離された菌株は,L. garvieae診断用抗Ⅰ型およびⅡ型血清に対して非凝集性を示し,多遺伝子座配列解析(MLSA)においてL. garvieaeⅠ型に近く,Ⅱ型とは遺伝学的相違性が認められた。同菌株を用いたカンパチに対する腹腔内接種による感染試験では,半数致死濃度は 1.6×103 CFU/FISH未満であった。また,Ⅰ型およびⅡ型の混合ワクチンを接種したカンパチにおいて,今回分離した菌株に対する感染防御効果は認められなかった。一方,今回分離した菌株のホルマリン不活化ワクチンは,同菌株の感染に対して高い防御効果が確認された。以上の結果から,今回分離された従来のⅠ型およびⅡ型診断用抗血清に凝集せず,Ⅰ型およびⅡ型ワクチンの効果がない菌株をL. garvieaeⅢ型と呼称することを提案する。

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© 2023 日本魚病学会
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