2025 年 60 巻 4 号 p. 207-209
アユの異型細胞性鰓病(ACGD)の原因であるアユポックスウイルス(PaPV)の養魚場内での汚染状況を,スワブ法とPCR法を組み合わせて調査した。その結果,調査した8つの養殖施設のうち,7施設においてPaPVの汚染が確認され,その中にはACGD未発生の施設も存在した。さらに,-20°Cで冷凍保存したACGD病魚を用いた人為感染試験を行ったところ,投入20日後に異常遊泳を伴う死亡が始まり,鰓弁でPaPVが検出され,ACGDの病徴も観察された。これらのことから,養魚場でACGDを防ぐには,冷凍病魚の加工時に生じる解凍ドリップや排水によるPaPV汚染にも注意する必要があると考えられた。