抄録
本研究の目的は、時間分解硬X線光電子分光法(HAXPES)を用いて、電荷密度波(CDW)を示す 1T-TaS2 および 1T-TiSe2 での相転移温度近傍での電荷密度相のダイナミクスを調べることであった。しかし、SPring-8 制御システムのトラブルにより、時間分解測定が不可能となった。残された時間も少なく実験を再開することは 不可能と判断し、時間分解測定は中止とした。
代わりに、テーマを変更し、NaCr2O4 の静的 Cr 2p 内殻準位の HAXPES スペクトルを測定し、X線吸収分光(XAS)の研究より示唆されていた NaCr2O4 の混合原子価状態の存在を確認することを実施した。