抄録
昭和50年夏,館山湾のカツオ釣り用活餌のカタクチイワシにVibrio菌による疾病が流行し,スルファモノメトキシンが有効であった。そこで,同蓄養場の生簀1枠を用い,スルファモノメトキシンソーダ200mg/kg魚体重/日を水に溶かして配合飼料(クランブル)に吸着させ,撒餌法により一回投与したときの投薬方法について,摂取量および組織内濃度から検討した。1)摂取率は投薬直後の全魚体内濃度(総量で平均24.25mg%)からみると,平均総摂取量としては242.5mg/kg魚体重となり,計算投薬量200 mg/kg魚体重の128.5%となる。2)摂取率としては,計算投薬量より高い値であり,総体重推定が過大であったと思われるが,個体差はスルファモノメトキシンとして181~355mg/kg魚体重の摂取量とバラツキが少なく,魚類への投薬例としては,ほぼ均等に摂取されていた。3)投薬6時間後の魚体(内臓を除いた部分)内濃度は遊離型で平均2.5mg%,総量で平均3.1mg%と有効濃度に達していた。4)残存率は投薬24時間後で,摂取量の7.2%であり内臓での残存量が多かった。5) カタクチイワシのVibrio菌感染症に対するスルファモノメトキシンの投与量は,100~200mg/kg魚体重1日5日間投与が適当と思われる。