魚病研究
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ウナギの鰾寄生線虫Anguillicola crassaの産卵,仔虫の動向,および中間宿主について
広瀬 一美関野 忠明江草 周三
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1976 年 11 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

 ウナギの鰾寄生線虫Anguillicola crassaは鰾内で産卵するが,鰾内で雌虫の体壁が破れ,子宮も破れることによる卵放出もある。その卵よりふ化した仔虫は正常に発育しうる。ふ化した被鞘仔虫は気道と消化管を経て水中に出るが,食道経由もあり得るかもしれない。水中に出た仔虫は被鞘状態で数ヵ月以上生存しうる。被鞘仔虫をコペポーダの一種Eucyclops serrulatusに接触させるとその消化管内に摂り込まれた仔虫は血体腔に移る。血体腔に入った仔血は鞘を脱いでおり,直ちに成長が始まる。Sinodiaptomus chaffanjoniに接触させると,一部の仔虫は消化管から血体腔に移るが,1昼夜経過すると恐らく血体腔に仔虫を持つものが死ぬためであろう,血体腔に仔虫を持つコペポーダはいなくなる。以上からE.serrulatusは中間宿主となり得るがS.chaffanjoniはなり得ないと考えられた。

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