抄録
1) 養殖ニホンウナギのEdwardsiella tarda感染症のもう一つの発現型である化膿性肝炎型について細述した。2) 病理組織学的検討の結果,肝臓での発病は類洞内に細菌を呑食した細胞が現われることに始まり,その類洞を中心に微小感染病巣から膿瘍病巣が発展していた。膿瘍病巣の軟化融解により病巣の拡大が起り,敗血病巣,潰瘍病巣へと進行していた。3) 全身感染の段階で,心臓,鰓,体側筋組織に転移病巣が現われ,脾臓は細胞増生浸潤性反応を,腎臓の造血組織は造血細胞の過形成を示していた。4) 以上の病理組織学的所見から,肝臓の感染病巣の炎症反応は化膿性炎で特徴づけられた。また,血管間葉性組織の反応は発現型によって相違していた。