魚病研究
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アユのグルギア症に関する研究―IV
胞子の注射による人為感染
高橋 誓江草 周三
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1978 年 12 巻 4 号 p. 255-259

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抄録

 1.G. plecoglossiの胞子を蒸留水または0.85%NaCl溶液に懸濁させ,アユの躯幹背側背鰭側下の一点の皮下に0.05ml注射した。その結果22日および35日後には注射点の皮膚,皮下組織さらに表層に近い筋肉組織に多数のグルギアシストの形成が認めらた。さらに幽門垂,腹膜,生殖腺,蓄積脂肪体,肝臓,心臓,脾臓にもグルギアシストを認めた。2.同様に胞子の蒸留水懸濁液を腹腔内に0.1ml注射することにより,25日および31日後に幽門垂,腹膜,生殖腺,蓄積脂肪体,脾臓,鯉そして皮下組織または表層に近い筋肉組織内にグルギアシストの形成を認めた。3.現在までに魚類微胞子虫の注射による感染の報告はない。他の微胞子虫に対して同様に成立するか不明であるが,この方法によりG.plecoglossiの生物学的研究や治療法の研究には多いに役立つ。

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© 日本魚病学会
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